人魚

きたない鱗がまとわりついて
二足歩行もろくにできやしない
剥いでも剥いでも
えら呼吸の私ではたかが知れている
半人前　そう私は未完成なのだ

這いつくばって　歩腹前進

赤い赤いヴァージンロード

誰もいない教会で私は祭壇を目指して這い回って居る

長い長いヴァージンロード

悔い改めることなど　今はまだ知らない振り

嗚呼　神様、
願いが叶うなら　この両足を一人前にしてほしい

ゆめめも

ジャイアン
メールがいっぱい
写メのと寝れないのと

チョコのサンプリング
大物議員ミュージシャン
ブラジルの舞闘
イルカのうごき

薬局　シャンプーS円
雨　おいてけぼり　あべひろし
殺される
殺されず
合流　怒る　意地悪
花が咲いて
ぜんぶあたしのもの

ジャイアン

友人二人と一緒に、友人の家に泊まった朝の会話。
「出掛けるまでまだ時間あるから、もう一本映画観ようか？」
「でも今日は部屋を防音しなきゃいけないのよ。明日ジャイアンが来るから。」
「えー！それは大変！あの歌声は防音しなきゃまずいね！」


「まぁ、ドラえもんのビデオが来るだけだけどね」

映画の世界

世の中すべて映画になってしまいました。人々は毎日劇場に足を運び、唯一の娯楽に興じます。

ライブをみるのも映画、だなんて、もはやライブじゃないじゃない。でも世の中はそうなってしまったんだから、そうするしかありません。みんなで劇場へライブの映画を観に行きます。内容は普通にライブだから、なんだか不思議。感想は色紙に寄せ書きします。何故。メンバーも、こないだ共演した○○です、どうもーみたいな挨拶してるし。共演な。
という私も出ています。映画。ライブじゃなくて、普通に話のある映画です。主演。ポスター貼りまくってあるのにだぁれも気付かないのね！写りが全く別人だから仕方ない。

話題の映画を観にいこうと、ドラマーと女の子の友達と一緒に劇場に行ったのですが、みんな映画観にくるから劇場は知り合いばっかり。うっかり付いていって、その映画５階だよ、もうすぐ始まるよ、なんてことになってしまいました。急いでスロープを駆け上がり、なんとかチケット買えたので一安心してトイレに。
その映画の半券で商品券かなんかと交換できるという話を考えてたら、トイレのドア開けられてすいませんとも言わずに若い男の人と中年女性が入ってきた。なんなの。やたら広いトイレで、奥に秘密の扉があるのを発見。どうやら今から観ようとしている映画は、まず隠し扉を見つけなければいけなかったらしい！扉の向こうには薄暗い隠し通路がつづいている。友人たちと合流するが、何故か怒っている。どうやら半券５枚と商品券を交換だったらしい。折角あと二人見つけたのに、どこ行ってたの、と。えー。またしても走って隠し通路を抜けていく。通路はどんどん暗くなっていく。もう何も見えなくて、走る足音だけが聞こえる。眼を開けているのか閉じているのかもわからないような、闇

大地震

過去の映像なのか、未来のシミュレーションなのか、私が実際に体験しているのか。どれも当てはまるような、どれも違うような。

海に浮かんで岸を見ていた。結構沖に出ていて、崖のような山のような、岩肌が見える。そして直感した。揺れる。激しく揺れだす陸。ヴォリュームスイッチを一気にオフにしたように静かな中で、崩れていく岩。潰されていく人。岩が落ちる音も、人の悲鳴も、波の音も、何も聞こえないけれど、目の前の景色は確かに悲惨に崩れていく。どうすることもできず、波に揺れている私は、陸にいなくてよかった、と思っている。